準備するもの

皮下点滴セットの組み立て

1.加圧バッグに輸液パックをセット

 加圧バッグ内に輸液パックを入れ、上のホックのところに輸液パックをひっかけて、落ちないようにする。
 加圧バッグは身長の高さぐらいの高いところにひっかけて、落ちないようにする。

2.輸液ラインのセット①

 輸液ラインを袋から出す。

3.輸液ラインのセット②

 輸液ラインの先端のキャップを外し、そこへ翼状針をつなぎます。

4.輸液ラインのセット③

 写真にあるクレンメ(緑のものに白い回転するものがついているもの。ここを調整することで点滴の流量を調整できます。)が、開封時は開かれているため、そのままだと液剤が流れてしまいます。そのため、白い回転するものを矢印方向に動かし、クレンメを閉じて、点滴が流れ出ないようにします。

5.輸液ラインのセット④

 輸液ラインのプラスチック製の針を輸液パックのゴム部分にしっかりと刺し込みます。

6.空気室に輸液を入れる

 輸液ラインの空気室を強くつまんで、離すことにより輸液が空気室に入ってきます。半分より少し少ないぐらいの量が入るように繰り返して調整します。

7.輸液ラインを輸液で満たす

 「4」で閉じたクレンメを開くことにより、輸液が流れ出します。先端の翼状針の先から輸液が出るのを確認し、先ほど開けたクレンメを再度閉じます(輸液が出るので、下に輸液が垂れてもいいようにタオルやペットシートなどを起きながら行います)。

8.加圧バッグの三方活栓を横に合わせる

 加圧バッグの三方活栓の白い部分を図のように横になるように合わせます。これにより手動ポンプを押すことで加圧バッグに空気をためて、輸液パックに圧をかけることができます。

9.加圧バッグの圧をあげる

 図にある手動ポンプを押すことで圧が加わります。図にある圧力針の緑の部分が見えるまで、空気を送り続けます。

10.加圧バッグの三方活栓を上に合わせる

 先ほど「8」で横に合わせた三方活栓を今度は上になるように合わせます。これにより一度加えた空気が逃げにくくなります。
 これで準備は終了です。

皮下点滴の実施

1.背中の肩甲部の中心を消毒する

 点滴は背中の肩の部分の真ん中あたりに行います。毛をしっかり分けて、アルコール綿で消毒を行います。
 過度にこすったり、アルコールで過度に濡らす必要はありません。

2.背中の皮膚をつまみ、針を刺す

 背中の皮膚をつまみ、図の親指のあたりに針を刺します。一度刺した針を抜いた場合は、再度同じ針を刺すと痛いため、針を交換した方が良いです。

3.クレンメを開け、輸液開始

 クレンメを開けて、輸液を開始します。
 しっかり輸液が入っているかを確認します。空気室で液体が流れているかの確認、輸液が入っている背中が膨らんできているかの確認などを行います。

4.輸液終了

 指定された輸液量が入ったら、先ほど開けたクレンメを閉じ、点滴を終了して、針を抜きます。針を刺した穴から輸液が出てきてしまうので、乾綿やティッシュなどでしばらく押さえます。使用が終わった輸液ラインは翼状針の部分を結び、針を切り取ります。

輸液量と目安の時間
100ml   1分30秒
150ml   2分30秒
※圧のかけ方や皮下の状態で多少変動はございます。

5.加圧バッグの圧を抜く

 すべて終了したら、最後に加圧バッグの三方活栓を下に向けて、今まで加えていた圧をすべて抜きます。
 これで終了になります。

6.輸液の交換

 輸液パックと輸液ラインは週に1回は交換しましょう。

7.輸液の再開

 すでにセッティングされている輸液セットを使用して輸液を行う場合は、最後に結んで針を切った翼状針を外し、そこに新たな翼状針を接続します。そしてクレンメをあけて、翼状針内に輸液が満たされるようにセットします。これで準備は完了となりますので、輸液を開始します。

8.針などの処分

 皮下点滴で用いた輸液パックや輸液ライン、翼状針などは医療廃棄となります。ご自宅では処分せずにまとめて動物病院にご持参ください。病院で処分を行います。

当院で治療を行われていない方の医療廃棄はできませんので、ご了承ください。

Q&A

動いてしまい、針が抜けてしまいました。再度刺しても問題ないでしょうか?

一度刺して、抜けてしまった針を再度刺すと、切れ味が悪くなっていて痛いので、新しいものに交換してあげましょう。

輸液を開始しても中々輸液が入っていきません。動物も嫌がっています。

もしかしたら針が皮内に入っているかもしれません。背中の液体がたまっている部分が硬くないでしょうか?一度輸液をストップし、針を付け替えて、再度皮下に針を刺して輸液を行ってみてください。

輸液を開始したら、針を刺した反対側から液体が漏れてきました。

もしかしたら針が貫通してしまったのかもしれません。あわてずクレンメを閉じて輸液をストップし、針を抜きましょう。タオルで漏れてしまった部分をしっかりふき取ってあげて、針を新しいものに付け替えて、再度皮内へ刺して輸液を開始しましょう。