(1)臭腺
臭腺は臭いの物質を分泌する組織です。ジャンガリアンハムスター、キャンベルハムスター、ロボロフスキーハムスターは、腹部中心線上に陥没した構造としてみられ、その中に茶褐色の分泌物が蓄積し、また、左右の口角にも白色を帯びた臭腺が存在します。ゴールデンハムスターは、体幹両側の腰背部に臭腺があり、黒褐色あるいは茶褐色の円盤状に隆起した組織として認められます。
ゴールデンハムスターの臭腺(写真:霍野 晋吉)
ジャンガリアンハムスターの腹部の臭腺(写真:霍野 晋吉)
ジャンガリアンハムスターの口角部の臭腺(写真:霍野 晋吉)
これらの臭腺は男性ホルモン(テストステロン)が優位に支配しているため、オスで発情期になると活発になり、ゴールデンハムスターでは湿潤してきます。
ハムスターは自分のなわばり(テリトリー)をつくるために臭腺から臭いを分泌し、マーキングを行います。分泌物の成分は、長鎖のエステルやアルコールの同族列の異性体です。
(2)冬眠・擬似冬眠
短日になり、寒くなることが休眠の主な引き金となり、食物や水の欠乏は二次的な誘因とされています。休眠はゴールデンハムスターでは冬眠、ジャンガリアンハムスターでは擬似冬眠(日内休眠)といって、過酷な環境に対する生体反応であり、餌が少ない時、あるいは過酷な環境下でのカロリー消費を抑制するための手段です。体温を環境温度近くまで低下させ、呼吸数も極端に低下します。したがって冬眠中のハムスターを死亡していると間違えることがあります。
(3)頬袋
ハムスターは左右2つの頬袋(cheek pouch)を持っています。口腔粘膜が陥没した袋が存在し、口腔前庭の憩室で、重層の扁平上皮細胞におおわれています。ゴールデンハムスターでは約4×5cm、ジャンガリアンハムスターではその半分程の大きさで伸縮性に富んでいます。血管が少なく、リンパ管が豊富な盲嚢器官で、主に蓄餌、運搬に使用します。一般的にオスよりメス、老体よりも幼体のハムスターのほうが頬袋を使用するという報告もあります。ゴールデンハムスターでは被毛で裏打ちされており、この被毛は頬袋内での尖ったものあるいは固いものによる蓄餌で粘膜面を損傷しないように保護する役割を持ちます。
蓄餌したゴールデンハムスター(写真:霍野 晋吉)
ゴールデンハムスターの頬袋(写真:霍野 晋吉)
(4)性周期
ハムスターは周年繁殖動物で、自然排卵を行います。メスの発情周期は4日間で、約12〜20時間の発情が見られます。発情食後には、黄白色の膿性白色物質が外陰部から分泌され、これを膿と間違わないように注意します。
性周期は、14時間明、10時間暗の光条件で飼育すると規則正しく4日周期を繰り返します。
(5)新生仔
新生仔は赤裸で閉眼、閉耳の状態です。体温調節機能も未発達で、もちろん自力歩行もできません。一番最初に産出する新生仔は、後から産出するものよりも小さい傾向にあります。眼と耳は閉じていますが、既に切歯は生えており、4日齢位から体毛が生え、5日齢で耳殻が開口します。7〜10日齢では自ら採食可能となり、約2週間位で開眼します。
0日齢の新生仔(写真:山内 昭)
10日齢の新生仔(写真:山内 昭)
14日齢の新生仔(写真:山内 昭)