★ハムスターとは
本来乾燥した地域に棲息し、野生では地下にトンネルを掘り、巣穴を作って暮らしています。完全な夜行性で視力は弱く、昼間は寝て夜間に活動します。性格はメスのほうがオスよりも気が荒く身体も大きい傾向にあります。
ゴールデンハムスター
(Mesocricetus auratus)
(写真:霍野 晋吉)
ハムスターは草食に近い種子食動物で、切歯は一生成長を続けます(常生歯)。嗅覚と聴覚が敏感で、ヒトに聞こえる音域以外にも、コウモリのように超音波をだしてコミニケーションをとります。
★環境
基本的にゴールデンハムスター、クロハラハムスターは単独飼育、ジャンガリアンハムスターをはじめとするドワーフハムスターでは複数飼育が可能です。
水槽飼育
(写真:霍野 晋吉)
サークル
(写真:山内 昭)
砂浴び
(写真:山内 昭)
最近は多種のケージが市販されていますが、落下、階段などに足を引っ掛ける事故や脱走するアクシデントを考えると水槽タイプのケージが最適でしょう。広さは横、奥行き、高さが30-50cm程度以上のものが理想で、床には乾草、牧草などの巣材をハムスターが隠れるくらいの厚さまで十分に敷きます。また、小屋を設置するとハムスターは落ちつきます。
ストレス、あるいは運動不足を解消するために、回し車を設置したり、サークルなどを設けて部屋の中に放してあげることも必要でしょう。
トイレは専用の砂を入れて、ケージの隅に設置します。被毛を整えるために砂浴びを行うものもいますが、必ず必要というわけではありません。
★温度、湿度
温度変化が少ない場所にケージを置かなければいけません。基本的に寒さに弱く、気温が約5℃以下になると冬眠や疑似冬眠(日内休眠)がみられ、これらの行為は非常に体力を消耗するため、寿命を縮めたり、そのまま死んでしまうこともあります。したがって、冬はエアコンなどの暖房器具を使用するか、夜間はケージを毛布などで被って保温して下さい。また、小動物専用のヒーターなどをケージの中の床材の中や巣箱の下に設置するのもよいでしょう。
★食餌
草食に傾いた種子食動物で、基本的には野菜、野草、乾草、低カロリーの種子(ヒエ、アワ、キビなど)を常に与え、活動しはじめる夕方にペレットや果物、タンパク質などを与えるとよいでしょう。腐らないものは無くなったら足していき、腐りやすいものは朝晩にチェックして交換するのが理想です。タンパク質は動物性タンパク質、例えばゆで卵の白身、低塩煮干し、低塩チーズ、小動物用ミルク、ヨーグルト、虫、肉などがよいでしょう。
食餌
(写真:霍野 晋吉)
ハムスター専用ペレット
(写真:山内 昭)
ハムスター専用ペレット
(写真:山内 昭)
ミックスフード
(写真:山内 昭)
ミックスフードはハムスター自身が好きなものを選んでしまい、栄養素が不均衡になりがちになります。特にヒマワリの種子は高カロリーであるため、大量に与えることは禁物です。
★飲水
基本的には水分が必要です。一般的に体重の約10%の飲水量が必要とされています。多飲により下痢をするようなら控えめにし、野菜からも水分を吸収できるのでハムスターによっては水を加減します。まれに野菜を多く与えると全く飲まない場合もありますが、主食がペレットの場合は必ず水を与えます。飲水が不足すると採食量が減少する傾向にあります。
給水ボトル
(写真:山内 昭)
糞便による汚染を防ぐには、給水ボトルを使って与えるのが最適です。床に置く水入れだと、容器の中にハムスターが入ることがあるので勧められません。
★接し方
嫌がることをすると人に対して警戒心を持ち、いつまでたっても馴れません。背中からいきなりつかまないようにして、声をかけて気付かせてから下からすくうように持ち上げます。ゴールデンハムスター、ジャンガリアンハムスターの多くはケージの外に出して遊んだり、人に抱かれたりするスキンシップを好みますが、キャンベルハムスター、ロボロフスキーハムスターの多くは性格や体格的にその必要がなく、人に抱かれることは好まない個体が多いです。
持ち方
(写真:山内 昭)
また被毛は春と秋の2回、ほぼ全身が抜けかわります。時期や期間はそれぞれ異なりますが、部分的に換毛が順々に見られます。シャンプーの必要はありませんが、野生では砂浴びをして被毛の状態を保っているので砂浴び専用の細かい砂を使ってみるとよいかもしれません。
爪が伸び過ぎて引っ掛かるようであれば、血管を切らないように爪切りをしてあげるとよいのですが、とても難しい手技です。
こんな時は早急に来院して下さい
●下痢している●体で呼吸しているハムスターの下痢は肛門付近が濡れた状態になるのでウエットテイル(濡れた尾)と呼ばれます。食欲が低下し、脱水して死亡することもあるため、原因を調べるために糞便検査などを行い、早急に治療を行う必要があります。(病気-下痢)
ウェットテイル
(写真:霍野 晋吉)
●しこりがある呼吸困難であることが多いです。幼体であると肺炎、老体であると心不全の発生が多いです。食欲も低下すると危険な状態になります。X線検査の必要があるかもしれません。
呼吸困難
(写真:山内 昭)
●毛が抜けている・毛並みが悪い膿(うみ)あるいは腫瘍(しゅよう)の可能性があります。いずれにしても、しこりが小さい時に処置すれば治療も軽くてすみます。(病気-しこり)
胸のしこり
(写真:山内 昭)
病気になると、病気の重さに比例して毛繕いをしなくなります。こうなるとハムスターは全体的に薄汚れ、被毛にもつやがなくなります。
被毛粗剛
(写真:霍野 晋吉)
また、病気により抵抗力が低下することで、ニキビダニ症等の外部寄生虫症を発症し、脱毛がみられることもあります。特に老体では内分泌疾患に伴い、脱毛がみられることもあります。原因の鑑別を行わなければなりません。