分類

 げっ歯目(ネズミ目)ネズミ亜目ネズミ科キヌゲネズミ亜科に分類されます。げっ歯目は哺乳類のなかで最も多様化し、広く分布しているグループで、約2000種以上存在し、全哺乳類の約44%を占めます。そして、リス亜目、テンジクネズミ亜目、ネズミ亜目の3亜目に分類され、特にネズミ亜目はヒトの生活に密接し、高度の適応性に富み、臨機応変に生活してきました。
 特にキヌゲネズミ亜科はネズミ亜科とは形態的な相違があり、地中生活を営むという点から、体幹は太くて四肢も短く、地中生活に適応するように進化してきました。一方、ネズミ亜科のネズミはラットやマウスが代表的であり、樹上生活が可能であるため、尾は長くバランスをとるのに役立ち、四肢も体幹も細い特徴があります。

げっ歯(ネズミ)目 Rodentia
  + リス亜目
  + テンジクネズミ亜目
  + ネズミ亜目
     + ネズミ科 Muridae
        + キヌゲネズミ亜科 Cricetinae
           + ヒメキヌゲネズミ属 Phodopus
           |  + ヒメキヌゲネズミ(ジャンガリアンハムスター)
           |  + キャンベルキヌゲネズミ(キャンベルハムスター)
           |  + ロボロフスキーキヌゲネズミ(ロボロフスキーハムスター)
           + キヌゲネズミ属 Cricetulus
           |  + モンゴルキヌゲネズミ〔=バラブキヌゲネズミ?〕
           |              (チャイニーズハムスター)
           + クロハラハムスター属 Cricetus
           |  + クロハラハムスター
           + ゴールデンハムスター属 Mesocrietus
              + ゴールデンハムスター

品種

 ハムスターは実験動物、ペットとして多数の種類が知られ、その仲間には、ヒメキヌゲネズミ(phodopus)属のヒメキヌゲネズミ(ジャンガリアンハムスター)、キャンベルキヌゲネズミ(キャンベルハムスター)、ロボロフスキーキヌゲネズミ(ロボロフスキーハムスター)、キヌゲネズミ(Cricetulus)属のモンゴルキヌゲネズミ(チャイニーズハムスター)タカネキヌゲネズミ、バラブキヌゲネズミ、アルタイキヌゲネズミ、エーフェルスマンキヌゲネズミ、チベットキヌゲネズミ、オナガキヌゲネズミ、タビキヌゲネズミ、クモリキヌゲネズミ、バイカルキヌゲネズミ、キヌゲネズミ、クロハラハムスター(Cricetus)属のクロハラハムスター、ゴールデンハムスター(Mesocricetus)属のゴールデンハムスター 、ブラントハムスター、ニュートンハムスター、ラッデハムスターなどです。
 なかでもペットとして扱われている有名な種類は、ゴールデンハムスターとジャンガリアンハムスターが多く、次いでキャンベルハムスター、ロボロフスキーハムスターで、チャイニーズハムスター、クロハラハムスターが時々みかける程度です。しかし、ペットショップでは被毛の色などによってこれらの種類を別名で呼ぶことが多いです。

【クロハラハムスター】Cricetus cricetus

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クロハラハムスター(写真:霍野 晋吉)
 ベルギー、ヨーロッパ中部、ロシアのシベリア地方、カザフ地方北部からエニセイ川 流域とアルタイ地方および中国北西部(新疆維吾爾自治区)に分布します。 野生では単独生活を営むハムスターで、草原、耕地および川岸の土手などに棲息します。年中巣穴で生活しますが、10月中旬から4月下旬まで冬眠を行い、5-7日間隔に覚醒して貯蔵している食料を摂取します。
 頭胴長20-34cm、尾長4-6cm、体重100-900gです。体幹背側は明茶色、脇は白色であり、名前のとおり腹部が黒色の被毛で覆われています。毛色には変異があり、アルビノから黒色のものまで様々で、一般的に背側の被毛は冬と比較して夏には明色になる傾向にあります。鼻と前肢もやや白色がかり、短い尾には被毛が生えていません。メスの発情期はオスに対して寛大ですが、それ以外の時期には許容しない特徴があります。妊娠期間は18-20日、産仔数は4-12頭、寿命は2-3年です。繁殖季節は4-8月ですが、飼育下では年中繁殖が可能ともいわれています。
毛皮用に乱獲された歴史があり、現在、棲息数が減少しているそうです。

【キャンベルハムスター】Phodopus campbelli

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キャンベルハムスター(写真:霍野 晋吉)
 ロシア(バイカル湖沿岸東側)、モンゴル、中国黒竜江省・新疆維吾爾自治区に分布します。
 頭胴長はオス7.0-12.0cm、メス6.0-11.0cm、尾長は0.7-1.0cm、体重はオス35-45g、メス30-40gです。
 毛色はノーマルは背側は茶色、腹側は白色で眼球の色は黒色です。背中にはジャンガリアンハムスターと同様に線が1本入っていますが、不明瞭な線です。飼育下では他にもイエロー(シナモン)、オパール、サンディ、ブルーフォーン、ベージュ、ブラック、ブルー、アルビノ、チョコレート、パープル、シャンパン、アンブラス、プラチナ、パイド、サテン、レックスなど様々な色変わりの個体がみられます。
 特徴として、本種は噛むハムスターとして有名です。性格のきついものが多く、人に噛み付く確率が一番高いといわれています。これは噛んで物を確かめようとする性格ともいわれていますが詳細は不明です。特に遺伝の関係で、イエロー、クリーム、アルビノ系の個体が気が強いです。多頭飼育も可能です。妊娠期間は18-21日、産仔数は平均5頭(1-9)、離乳は18-21日、寿命は2-3年です。

【ジャンガリアンハムスター】Phodopus sungorus

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ジャンガリアンハムスター(ノーマル)(写真:山内 昭)
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ジャンガリアンハムスター(ブルーサファイア)(写真:山内 昭)
 カザフスタン、シベリア南西部に分布します。野生では種子や植物を中心に採食し、冬はナキウサギと共同して、巣穴を使用することも報告され、他の動物が使用しなくなった巣穴を使用するらしいです。
 頭胴長はオス7.0-12.0cm 、メス6.0-11.0cm、尾長0.7-1.0cm、体重はオス35-45g、メス30-40gです。
 毛色はノーマルは背側は灰色、腹側は白色がかり、眼球の色は黒色です。背中には額から尾にかけて黒色の明瞭な線がはいっていることが特徴です。飼育下ではサファイア、プディング(イエロー)、パール、サファイアパール、イエローパール、インペリアル、パイドなどがみられる。妊娠期間は18-21日、産仔数は平均5頭(1-9)、離乳は18-21日、寿命は2-3年です。
 なお、現在、分類学的にキャンベルハムスターとジャンガリアンハムスターの詳細な区別はついていないのです。したがって、別種として分類するか疑問視され、同種としてP.sungorusに統一されていることもあるのです。

【ロボロフスキーハムスター】Phodopus roborovskii

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ロボロフスキーハムスター(写真:霍野 晋吉)
 ロシアのツバ自治共和国、カザフスタン東部、モンゴル西部および南部、隣接する中国の黒龍江省から新疆維吾爾自治区北部に分布します。
 頭胴長は7.0-10.0cm、尾長は0.7-1.0cm、体重は15-30gで、2頭身で頭が大きくみえます。ハムスターの中では最も小型の種類です。被毛はノーマル(アグーチ)のみ判定されています。毛柄、毛質とも変色個体はみられませんが、時に背側の被毛が光沢あるいは薄い個体がいます。四肢、鼻は肌色で、耳介も内側が肌色、外側は体幹背側の色と同様です。ジャンガリアンハムスターのような背中の線はなく、腹側は純白に近い白色です。最も特徴的なのは眼上の眉毛のような白い模様があることで、おじいさんのようにみえるのが愛嬌です。
 妊娠期間は18-21日、産仔数は平均5頭(1-9)、離乳は18-20日、寿命は2-3年です。
 敏捷性が高く、性格も臆病で警戒心が強く、人に馴れないです。そのため手乗りなどのスキンシップをはかるのではなく、その生態を観察する観賞用の種類です。本種類は実験動物としては使用されていないため、あまり生理的な記録がないことが欠点です。そして、飼育下では繁殖は困難な特徴ですが、他のドワーフハムスターと同様に多頭飼育が可能です。

【チャイニーズハムスター】Cricetulus griseus

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チャイニーズハムスター(写真:霍野 晋吉)
 中国北西部、内モンゴル自治区に分布します。野生では植物、種子を中心に採食し、巣穴はには幾つかの部屋があり、寝室、食料貯蔵、営巣などに利用されています。
 頭胴長はオス11.0-12.0cm、メス9.0-11.0cm、 尾長は2.8-3.1cm、 体重はオス35-40g、メス30-35gで、体幹は他の種類と比較して細長く、陰嚢が大きく、際だっています。妊娠期間は約20日、産仔数は平均6頭、離乳は18-21日、寿命は2-3年です。外観上はネズミに近い体系で、他の種類と比較してネズミの血を色濃く残しているといわれています。尾が長いため、樹上で生活が行えます。とても人に馴れやすく、他のドワーフハムスターと比較して、噛みつくことはまずはないです。メスは多少気が強く、メス同士まれにオス同士でも喧嘩を行いますが、多頭飼育も相性に問題なければ可能です。
 チャイニーズハムスターの分類の詳細は不明であり、モンゴルキヌゲネズミ属のバイカルキヌゲネズミ(C.pseudogriseus)、モンゴルキヌゲネズミ(C.griseus)、バラブキヌゲネズミ(C.barabensis)の3種類のなかで検討されていますが、この3種類は従来は別種といわれていましたが、染色体の研究から、バラブキヌゲネズミと同一種類と最近は考えられています。
 なお、本種は昔から実験動物として活躍していた種類ですが、ペットとしての人気は他種類に圧倒されています。

【ゴールデンハムスター】Mesocricetus auratus

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ゴールデンハムスター(ノーマル)(写真:山内 昭)
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ゴールデンハムスター(長毛)(写真:霍野 晋吉)
 シリア、レバノン、イスラエルに分布します。野生では植物、種子を中心に採食し、乾燥地帯に巣穴を深く掘り、食料貯蔵庫、寝室、トイレなどに利用しています。
 頭胴長は 約16-18.5cm、 尾長は2.1-2.85cm、 体重は130-210gです。毛色はペット歴が長いゴールデンハムスターには多くの突然変異遺伝子が発見されています。欧米では数々のハムスターショウ(展覧会)が開催され、スタンダードの毛色はコンビネーションカラーの組み合わせに至っても厳密に決められています。黒目クリーム(キンクマ、アプリコット)、シナモン、ライトグレー、シルバーグレー、ダークグレー、ブラック、グレー、錆色、イエロー、アンブロウス、バンデッド(ドミノ)、ローン、サテン、長毛、レックス、アルビノ、ホワイト、赤目クリーム、アルビノ、セーブル、チョコレート、ホワイトなどの色変わりの個体がみられます。
 妊娠期間は15-16日、産仔数は平均8頭{1-15)、離乳は18-21日、寿命は2-3年です。性格は短毛種より長毛種のほうが大人しい傾向にあります。全体的にメスのほうが気が強く、特に繁殖中の時には注意します。
 生物学的な歴史は比較的浅く、アレクサンダー・ラッセルという医師によって発見され、1797年に出版した本で紹介されています。その後、1930年4月にヘブライ大学教授のI.Aharoniがシリアのアレッポで、学術の折に発見された母親と11頭(12頭という説もある)の幼体をエルサレムのヘブライ大学に連れていきました。しかし、当時収容していた紙製の箱から多くが齧って逃走したり、あるいは死亡して、残ったオス1頭とメス2頭の計3頭が繁殖に使用されました。これを起源とし、1930年8月には飼育下で初めて繁殖され、1931年はロンドンに、アメリカには1938年初めて運ばれました。その後1971年にもシリアのアレッポで新たに捕獲され、アメリカに運びこまれたそうです。本邦には昭和14年に実験動物用として輸入されたのが始まりです。

◎ドワーフハムスターとは?
ドワーフとは、「小さい」という意味であり、いわゆるキャンベルハムスター、ジャンガリアンハムスター、ロボロフスキーハムスター等のヒメキヌゲネズミ属とキヌゲネズミ属の小型ハムスターを指します。