イグアナは特殊な進化を行ってきた動物で、解剖、生理等を哺乳類はもちろんのこと、他の爬虫類とも異なる点が多いです。

(1)草食

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葉野菜を食べるグリーンイグアナ Photo:YIL
 昔、幼体は昆虫も食べるといわれていましたが、現在は終生完全草食という説が有力です。グリーンイグアナは単純な消化管をもっていますが、排泄するまでに数日間を要し、腸内細菌や原虫を利用して長い時間をかけて消化します。そして、カルシウムとリンのバランスがとれ、ビタミンやミネラルが豊富な野菜や野草が理想です。カルシウムとリンの比率は2〜3:1が理想です。アンバランスな食餌では栄養性疾患、特に代謝性骨疾患が多発しますので注意して下さい。

(2)外気温動物

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日光浴を行っているグリーンイグアナ Photo:YIL
 グリーンイグアナは外温性の動物です。外温性とは体内の温度調節を行わず、体温を外気温に依存し、イグアナは体温を上昇させるために、日光浴を行い、上昇すると日陰に避難します。これを日光熱性ともいいます。爬虫類には至適温度があり、種、季節、日内変動によって異なる場合もあります。イグアナはこの温度域で生活することにより、代謝を維持し、消化、免疫における抗体の産生の調整を行います。したがって、飼育下でもその温度域を確保することが重要で、この温度を保てなければ、致死的な経過をたどります。

(3)紫外線

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爬虫類専用フルスペクトルライト Photo:YIL
 爬虫類に対しての照明は、活動や食欲を刺激したり、繁殖や冬眠を調節するなど、生理活動に不可欠なものです。光のなかでも、特に紫外線は爬虫類(特にトカゲ類、カメ類)において食餌のカルシウム吸収に必要なビタミンD3の合成に必要です。紫外線はUVA、UVB、UVCに分類され、このなかでもUVB(下記表参照)が爬虫類にとって最も大切です。飼育下でも屋外で日光浴を行えれば理想ですが、寒い冬季では保温が困難になります(屋外飼育では多くのヌマカメが冬眠することになります)。したがって、屋内飼育では必ずフルスペクトルの爬虫類用の蛍光灯を使用することが推奨されるのです。なお、ガラス越しの日光浴は紫外線の多くを遮断するため、効果が激減するので注意して下さい。
表:紫外線の分類と役割
UVA (320-400nm)脱皮促進、食欲増進
UVB (280-320nm)ビタミンD3生成、色素沈着
UVC (100-280nm)殺菌作用、紅斑作用(日焼け)

(4)尿酸排泄

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糞と尿酸 Photo:YIL
 爬虫類の尿は尿素排泄でなく、尿酸排泄を行う種類がみられます。グリーンイグアナは窒素廃棄物の最終分解産物は尿酸が主です。尿酸は非水溶性であるため、これが大量に尿に蓄積され結晶を析出します。尿酸の結晶は通常、白色あるいはクリーム色ですが、発情したオスなどでは時にオレンジ色を呈することもあります。

(5)雌雄鑑別

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雄の大腿腺 Photo:YIL
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鼓膜下大型鱗 Photo:YIL
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デューラップ Photo:YIL
 幼体の雌雄鑑別は二次性徴が微妙であり、外観からの判断は困難です。成熟すると、雄では腹側の大腿孔(鼠径孔)が大きいので容易です。また、尾根部の総排泄孔の後方腹側両面にヘミペニスが1対みられ、顔面側部に鼓膜下大型鱗を持ち、この部分が膨らんでいるので正面から観察するとおたふくのようにみえます。そして、体幹背側の棘状の稜(クレスト)が大きく、喉襞(デューラップ))も大きいです。さらに、発情すると頭を縦にふる動作(ボビング)も多くなる傾向にあります。 雄は雌と比較して身体も大きくなり、男性ホルモン(アンドロジェン)の支配により、性成熟とともに体色がブロンズオレンジの色彩になります。しかし、これらの外観的二次性徴は生息地域や個体によって異なるため、一概に断言できないことが欠点です。

(6)頭頂眼

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頭頂眼 Photo:YIL
 グリーンイグアナでは頭頂部正中に小型の半透明な円形組織が存在します。これは「頭頂眼」あるいは「ろ頂眼」といいます。解剖学的には眼球と同じ構造をしているため、「第3の眼」とも呼ばれていますが、形態視的な視力はないと思われます。しかし、明らかに光の感受器であり、明暗視あるいは方向視的な役割を持っていることも十分に考えられ、感知する光刺激が関与して、性ホルモン産生を行うといわれています。その他にも体温調節、ビタミンD産生を担っていると報告されています。