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ハリネズミ
 一般的には動物からうつる病気をさしますが、本来は動物からヒトへ、あるいはヒトから動物へうつる病気ことをさし、ズーノーシス(zoonosis)と呼ばれています。普段の生活のなかで、ペットと接触し、知らずに感染を受けている機会が多いと思われますが、その移される病気には恐ろしい病気もありますので、適切な知識をもってペットを飼育する必要があります。特にエキゾチックアニマルは解明されていない病気が数多くありますので、注意が必要です。
また、最近は動物に対してアレルギーをもつ方も増えています。主に動物の被毛やふけなどに反応して皮膚に発赤、掻痒がみられたり、鼻水、くしゃみあるいは喘息様発作が引きおこされます。これらは人畜共通感染症とは少し異なります。
なお、海外では狂牛病が問題となっていますが、いつのまにか日本でも発見され、驚かれている方も多いと思います。狂牛病という病気は「牛海綿状脳症」ともいわれ、その名のとおり、脳を顕微鏡でみるとスポンジ状になってしまう病気です。すでに1986年に英国で報告されていました。もともとヒツジの病気でしたが、病気にかかったヒツジの骨や肉粉がウシの食餌に混入し、そこからウシに感染がおこったと推定されています。ウシやヒツジだけではなく他の動物でも報告があり、ヒトにも発生します。また、サルでは映画でも話題になったウイルス病が懸念されます。中でもフィロウイルス(エボラ出血熱・マールブルグ病)は致死率の高い恐ろしいウイルス病で、日本国内に持ちこまれる可能性があります。これらに対しては2000年1月から施行された新しい感染症予防法によって、検疫が始まり、発症があった地域や疑わしい地域からの輸入は禁止されました。しかし、その多の赤痢、サルモネラ、寄生虫、結核などの感染症に対しては自主検査が勧告されていますので、これらの検査は必要性が高いと思われます。

主な人畜共通感染症

 以下の病気以外にも多数の感染症が知られています。

【クラミジア症(オウム病)】

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アオメキバタン
 主にオウム、インコなどの鳥類がクラミジアを保有し、ヒトにうつるケースがみられます。乾燥した糞便の吸入や餌の口うつしなどによって感染します。鳥類では下痢がみられ、衰弱して死亡することもあります。ヒトではインフルエンザ様の症状がみられ、死亡例もあります。現在、病院ではクラミジアの検査も行っています。予防は糞便の速やかな処理です。

【サルモネラ症】

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ミシシッピアカミミガメとクサガメの幼体
 主にミドリガメなどの爬虫類がサルモネラ菌を保有していることが原因となります。爬虫類は症状があまりみられませんが、ヒトが爬虫類に触れた後、食べ物を口にしたり、自分の口を触ったりすることにより、腹痛、下痢、発熱などの食中毒のような症状を起こします。手洗いが最も有効な予防であり、また、爬虫類の糞便の処理は頻回に行って下さい。

【狂犬病】

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ルーセットオオコウモリ
 ラブドウイルスの感染であり、イヌだけではなく、アライグマやコウモリなどの野生動物との接触が原因と考えられます。特にコウモリは狂犬病ウイルスを長期に保有しているため、キャリアー(ウイルスの運び屋)ではないかと思われます。咬傷によって感染し、発症すると100%死に至る恐ろしい病気です。日本では1956年以降の発生はありません。ヒトの予防はワクチン接種のみです。

【ペスト】

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プレーリードッグ
 プレーリードッグをはじめげっ歯目(ネズミ目)が保有している細菌が原因であり、ノミが病気を運び、人間を刺すことによって感染します。げっ歯目の動物がペスト菌を持っているかどうかを生前に診断するのは困難です。予防はノミの駆除です。

【アメーバ赤痢】

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オマキザル
 サルや爬虫類がアメーバ赤痢という寄生虫を寄生し、ヒトがそれらの排泄物に触れた後、食べ物を口にしたりすることで、感染します。ヒトではイチゴゼリーの様な粘血便がみられ、感染したあと3〜5年してから肝臓や肺に影響がみられることもあります。予防は手洗いが最も効果的です。

【回虫症】

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アライグマの回虫卵
 回虫は寄生虫の仲間で、ペットでは主にイヌやネコに寄生していますが、アライグマなどにもみられます。糞便から、もしくは回虫の卵がついたペットの体毛を吸いこんだりということから、まれにヒトにも感染します。ヒトでは発熱、肝臓が腫れたり、視力の低下がみられることもあります。予防は糞便の速やかな処理です。

【糸状菌症】

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糸状菌のウサギ
 糸状菌はカビの仲間です。ペットの身体のカビをヒトが直接接触ことによって感染します。ヒトでは皮膚に発疹、皮膚炎がみられます。予防はペットを清潔に保ち、皮膚に異常がみられたら、動物病院に受診することが良いでしょう。

予防法

 人畜共通感染症を熟知する必要があり、事前に対処することが可能です。ペットを飼育しないことが最大の予防ですがが、ペットがヒトに与えてくれる様々な精神的、心理的なものは、なにものにも換えがたいです。例えば、どのようなことに注意すればよいか、具体的に考えてみます。
 まず、ヒトとペットとの境界線は必要です。ペットを擬人化して、度を越して可愛がるのは、ペットにとって迷惑なこともあり、感染症の観点からも理想ではありません。睡眠、食事、入浴も一緒というのは避けるべきです。食餌を口うつしであげるなども感染症の危険を高めます。接触後には手を洗浄するなどの配慮も必要です。また、飼育環境を清潔に保つようにします。最も問題になるのは、尿や糞便の処理です。これは消毒薬とともに水洗トイレに流すか、できれば焼却してしまう方法が理想です。
 これから家にペットを迎える場合は、健康な動物を購入することが重要です。また衝動買いも、後悔することになりますので注意して下さい。
 ペットはヒトと話しをすることが不可能です。調子が悪くても訴えられませんし、食欲や元気、排便・排尿の有無、行動、表情などを注意深く観察することが大切です。やはり早期発見、早期治療であることは、治療の成功に大きく影響します。
 しかし、動物病院に来院して、「感染症を、早急に判断して下さい」、「このペットが何か感染症を持っていないか、明確にして下さい」という要求には無理があります。その理由は、多くの感染症に対して、迅速に検査、診断、治療、予防などを行うことは、簡単なことではないのです。大学病院でも困難であると思います。病原体の検査や診断には、特殊な設備、器材、専門知識が必要となるからです。ヒトも同様ですが、専門の検査センターに依頼する場合が多いと思います。しかし、動物が主役の病気となると、検査が可能である検査センターは制限されます。ペットからの感染症に関しては最近、重要な問題として認識され、これらを解決するために日本獣医師会や厚生労働省も積極的に取り組んでいます。開業獣医師の教育、検査の整備や充実、連携などの対策の実現に努力しているところです。